奈良県南部の小さなホールで行われる。
しかし田舎なので人数が集まるかと不安だったしあまり乗り気ではなかった。
事実前日までキャンセルしてやろうかとも考えていたからな。
さっそく会場につく。
天気がいいので少しテンションも上がってきた。

なかなか小奇麗なホールだ。

ホールの小さな一室で行われる。
う〜む。ここでやるのか…
ムードがあまりないな。
やはり奈良県だ。

しかも隣の部屋では短歌の会みたいなのがやっていてうるさかった。
年配の人が廊下にあふれていたぞ。

集まりが少し悪かったので時間をおして開催された。
男11人、女9人で始まった。
少ないな。
さぁ!どんな面子がおるのだ!?
俺は早速物色し始める。
男は20代の若造が少々とあとは40近いオッサンだ。
イケメンなどいてない。
…
勝った…
女の子も観察してみる。
人数が少ないのですぐに特徴を覚えられた。
20代の田舎ヤンキーみたいなのもいたぞ。
3人一緒に来とった。
奈良県の南部は土地柄かこういうのが多いのよ。
北部とはだいぶ人種が変わる。
ジャージ、スウェットがよく似合うぞ。
その他もろもろ見てみるが残念なのが多い。
…
9人中2人許容範囲となるのがいた。
いや許容範囲というより一人はかなりの俺のタイプだ!
田舎に似つかわしくない清楚系美人だ。
都会的な雰囲気が感じられる。
ナンパだとビビッて声をかけられないレベルだ!
なぜこんな場所にまぎれているのだ?
ストライクゾーンほぼど真ん中だ。
俺のテンションは上がる!
この子狙いで行こう。
まずは自分のプロフィールカードを書く。

ふむ、ここに自分のスペックを記すのだな。
好きな食べ物は… デートで行きたい場所は… 休日の過ごし方は… などなど
これは大体どこのパーティーも同じだな。
そしてトークが開始される。
一人約3分間会話をする。
男が席を一つずれていき女の子全員と喋るのだ。
よし!
ナンパで鍛えたトークを発揮するぞ!
こんな場所はストリートに比べればヌルすぎる!
なにせきつい罵倒やガンシカなどない。
初めから会話ができるのだからな。
恵まれた環境だ。
順番に会話をしていく。
プロフィールカードを渡しあって一対一の面接だ。
お互い品定めだぞ。
なかなか楽しい。
たまにはこういうのもいいかも。
会話の練習にもなる。
3分間なので出来る会話は限られるが。
「一人暮らしですか…」「趣味の買い物はどこにいくんですか?」などなど。
そして鬼門の田舎ヤンキーの前に近づいてくる。
俺の前のオッサンはこの田舎ヤンキーと喋っていたので観察していたが、オッサンすごく狼狽してたぞ。
会話がほとんど成立していなかった。
喋りながらも焦っているのがありありと感じられた。
…
やはり年齢差か…
女の子も愛想笑いが多く感じられた。
俺は大丈夫だろうか…?
そしてこの田舎ヤンキーと会話だ。
22歳だった。若いな。
しかし始めの5秒くらいで感じとった。
この子は俺のことは眼中にないと。
もう雰囲気で分かるのよ。
パっと見て年齢差を感じたのだろうな。
そこからの会話というのは辛いぞ。
全く見込みのない子とトークをせねばならんのだから。
最も俺も全く興味がないが。
しかしトークの練習だ!
俺はナンパと思って喋りかける!
こういう子は笑わすのがいい。
固いトークはダメだ。
「22歳かぁ!若いな!ピチピチやなあ!」
と喋りかける!
さぁ、どんな反応を見せる?
…
苦笑していた。
すべったか…
少し変な空気が流れる。
しかたない、3分間耐えねば。
俺はプロフィールカードに沿っていろいろ質問してみる。
飲食店勤務と言っていた。
質問には答えてくれる。
ときたま少し笑顔もある…
だが…
むこうからの質問が一切ない!
くぅ…
なんだこのやりとりは?
裁判官と被告人か?
向こうから質問がないから、こっちの質問が途切れると沈黙が流れる時があった。
3分間がやたら長く感じる。
早く終わってくれ…
…
ふぅ… 長かった。
この子、俺のあとの20代の若造とは結構親しく喋っていたぞ。
笑顔も多くて。
ちくしょう…
俺があと10歳、 …いや5歳若ければ。
恋愛は若いときにしとかないとな。
そして続いてとなりの田舎ヤンキーの子に喋りかけに行く。
続く…